今回の星読み練習は前回のバッハと同じバロック時代の作曲家で、バッハと誕生日が1ヶ月(26日)しか違わないヘンデルのホロスコープを見てみたいと思います。
生涯で一度もドイツ国内から出ずに職人のような人生を歩んだバッハとは対照的に、ヘンデルはドイツで生まれ、イタリアでオペラを学び、その後イギリス ロンドンに移住して華々しい人生を送った人です。
楽曲を比較してみても、厳格で対位法重視、教会音楽を多く手がけたバッハに比べて、ヘンデルは華やかで明るい劇場音楽を多く作曲していて対照的です。
また、2度の結婚をして10人の子供を持った大家族のバッハとは対照的に、ヘンデルは生涯独身だったことも2人の人生の対比を表しているようです。
そんな華やかなヘンデルの人生はホロスコープにもばっちり現れていました。ホロスコープはなんでもお見通しだなと、再び感じた星読み練習でした。
ヘンデルのイメージ
ヘンデルは海外で学び、イタリア語のオペラや英語のオラトリオを作曲するなど外国で活躍し、華やかな人生を送ったイメージがあります。楽曲は明るくわかりやすく、当時多くの人々に受け入れられたのがよくわかります。
管弦楽曲「水上の音楽」のアラ・ホーンパイプや、オラトリオ「メサイヤ」のハレルヤはよく知られる曲で、ヘンデルの作曲と知らなくてもこれらの曲を聞いたことがある人は多いと思います。
予約金と入場料をいただいて演奏会を実施するという当時は誰もやっていなかった方法でお金を稼いだ革新者でもあり、後世の人たちはそのスタイルを真似しました。
そんなヘンデルのイメージから風エレメントの人かなと予想していましたが、太陽月ともに魚座の水エレメントでした。人々に広く受けれられたのは魚座の影響だったんですね。
新しいやり方でお金を稼いだことや、周囲のバックアップもあって生涯に渡ってあまりお金に困らなかったようなので、2ハウスと8ハウスに何かあるのではないかと予想しました。
さて、実際のホロスコープを見てみます。
ヘンデルのホロスコープ
出典:ASTROTHEME
ヘンデルの生年月日は1685年3月5日。5時45分生まれ。バッハと同じ出生時刻で両者が混同されているのかと最初思ったんですが、複数のサイトに記載があったのでどうやら正しい出生時間のようです。
ヘンデルのホロスコープを見てまず驚いたのが、アセンダントに金星、水星とPoFの合!
もうこれだけで華やかで幸運なヘンデルの人生が読み取れるようです。しかも1ハウスに天体が多くて、運も味方につけた人ではないかと思います。
個人天体のエレメントを見ると、太陽月が魚座で水エレメント、水星金星が水瓶座で風エレメント、火星が射手座で火のエレメント。全体を見ても地のエレメントは牡牛座の天王星しかなく、意外と堅実性に欠けた人だったのか?
しかし周囲に恵まれ、賢いお金の稼ぎ方のおかげもあって、生活に困ることなく(多少は困った時代もあったようですが困窮することなく)生涯過ごしたようです。
アセンダント付近
ヘンデルのホロスコープで最初に目を引くのは、アセンダント付近の華やかさでしょう。
水瓶座のアセンダントに金星、水星、PoFが合。金星とPoFはオーブ1度未満のタイトな合です。
コミュニケーション能力に優れ、みんなに愛される人、人生に幸運がセットされている人。そんな印象を受けます。
アセンダントは水瓶座なので、個性的な考えを持っていたり、革新的なものを取り入れたりする。伝統的にイタリア語で書かれていたオラトリオを英語で書き、今までにないお金の集め方をし、国際的に活躍したヘンデルらしさはここにあるのかもしれません。
水星・金星の合は松村潔先生の「完全マスター西洋占星術」によると
芸術的・美術的な才能に恵まれることになります。
とありますが、このアスペクトはバッハも持っていました。もしかして作曲家には結構多いアスペクトなのかと思っています。今後の星読み練習で統計とってみたいと思います。
そしてこの水星・金星合は木星とトライン。どれだけ恵まれた配置なんでしょう。
ルル・ラブア先生の「占星学 新装版」には水星や金星と木星の吉座相についてこうありました。
常識も備えているため、世間的信用を得やすく社会生活も円満です。(水星木星)
自他ともに人気を作り出す能力があり、社交と共同に成功しやすいでしょう。良い美術的センスとともに芸術の総合能力があり、一切の“美”を扱う職業に適します。(金星木星)
芸術家として人から愛されることが人生にセットされていたようで羨ましいですね。
さらにアセンダント・水星・金星・PoFの合は乙女座の土星、蟹座の冥王星とそれぞれ150度でヨッドになっています。ヨッドとは宿命アスペクトとも言われますが、よく出ると才能を活かせることになるのだそう。
ヘンデルの才能が開花するのは宿命で仕組まれていたということでしょうか。
もうここまでくると、才能が華々しく開花する様子がアセンダント周辺だけでも見てとれて眩しいです。
関連記事:宿命的複合アスペクト「ヨッド」がホロスコープにあった
1ハウスステリウム
1ハウスには4天体、ほぼ1ハウスでアセンダント合の金星を入れると5天体あります。太陽と月を含む個人天体4つ(太陽・月・水星・金星)が1ハウス。
派手な人生。若くして人生を切り拓く。エネルギーがある人。
音楽一家ではない生まれでありながら、海外で勉強し活躍したヘンデルの人生にぴったりの言葉のように思います。
伝えられている出生時間が正しければ、太陽と月はオーブ1度未満のタイトな合。魚座新月生まれなんですね。
この太陽と月はアスペクトは土星にオポジション。土星は7ハウスなので、ヘンデルが生涯独身だったのはここなのかも。婚期を逃したのか、慎重派だったのか。
1ハウスでは太陽と月が魚座なだけでなく、魚座ルーラーの海王星もあるので、魚座の性質や海王星は強く出るのでしょうか。博愛主義的な部分があるのか?それがより生涯独身を強めたとか?
ところで松村潔先生の「完全マスター西洋占星術」に1ハウス海王星は「天然ボケ」と書いてありました。ヘンデル天然だったの?
MC射手座
イタリアでオペラを学び、イギリスに移住して英語のオラトリオ文化を根付かせたヘンデル。ドイツで生まれながら、海外で活躍したのはMC射手座の影響でしょう。
9ハウスの射手座の火星がカルミネートなので冒険心が強くエネルギッシュで、自ら進んで自分の職業を切り拓いていくように見えます。
職業や社会的地位を表すMC、行動力を表す火星ともに射手座で海外に縁があるし、海外に出て視野を広げたことで成功を収めたヘンデルそのまんまなのではないでしょうか。
2ハウスと8ハウス
ヘンデルは経済的に苦境になりそうな時に周囲の人からの援助があったり、紹介で職を得たりと、金銭的に恵まれたイメージがあったので、木星が2ハウスかなと思っていましたが8ハウスでした。
8ハウスの木星は松村潔先生の「完全マスター西洋占星術」によるとこうあります。
人の感情に対して従順であるということが、融資を受けやすい資質にも結びつく。
なるほど周囲から救いの手が差し伸べられるのは、8ハウス木星の恩恵があったからなんですね。
2ハウスには天王星。独立的な仕事をしたり、変わったお金の稼ぎ方をするイメージがありますが、予約金と入場料で先進的なお金の稼ぎ方を変革したことは2ハウスの天王星のなせる技だったのかもしれません。
松村潔先生の「完全マスター西洋占星術」にも
経済管理に関しては、常識を無視して自分のやり方を見つけ出す。
とあるので、独自の手法を見出して自分の生活を支えたヘンデルがここに見えるようです。
6ハウスカスプの冥王星
6ハウスのカスプに冥王星が合です。
6ハウスの冥王星は仕事に熱狂的な姿勢になること、ハードワークが想像できますが、作曲家はみんなハードワークなんですよね。ヘンデルも大曲をメサイアを短期間で完成させたことなどから、ハードワーカーであったことは間違いないと思います。
職業病かどうかはわかりませんが、ヘンデルもバッハと同じく老年に目の視力が低下して同じ眼科医の手術を受けています。ヘンデルもバッハも失敗。2人の大作曲家を失明させてなんて眼科医だと思いましたが、当時の名医だったそうです。
目の手術の失敗の翌年、体調が悪化してヘンデルは死去しました。
同じ時代に生きた2人の作曲家
同じ時代、同じ年に、同じドイツで生まれたヘンデルとバッハは音楽的に比較されることが多いですが、ホロスコープも比較すると彼ら2人の人生の違いが如実に表れているように思います。
同じ時代に生きた偉大な2人の作曲家は対面することはありませんでした。バッハはヘンデルを意識していて会いたがっていたそうですが、2人が顔を合わせる機会はなかったようです。
そんな対照的な2人の出生時間が朝の5時45分(と言われている)で同一なのは偶然の一致とは言えないのではないかと、神秘的な考え方をしてしまいます。
次はまた間あくと思いますが私が作曲家のホロスコープに興味を持つきっかけになった偉大な作曲家モーツァルトを見てみます。モーツァルトのホロスコープもかなりおもしろいです。